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今日もトト日和 TOTO'Z FACTORY フォトグラファー&デザイナーの秋山伸子です お仕事のことや日々のあれこれを綴っています 写真のサムネイルをクリックで各記事をご覧いただけます

躾と訓練 犬の本質 3 <思考の動物と直感の動物 >

「人は思考の動物。犬は直感直行の動物」
と掘さんはいつも言います。

これは「犬を擬人化してはいけない」という事とリンクします。
「犬の精神世界には、人の勝手な解釈など紙一枚入る隙間はない。擬人化することは、犬にとっては失礼極まりないことなのです。」と言われます。




気質や個性は犬も千差万別ですが、行動に関しては生得的行動に基づいたものが多いのが、特徴ではないでしょうか。

「リーダーだから部下を制裁する」などという行動も、人のように「おいでって言われたらちゃんと来なさいってお母さんに怒られた。頭ベチンッ!てされた。ムカつくなあ。でもお母さんの言う事を聞かないと怖いしなあ。」という風に考えません。リーダーの犬は部下が部下として正しい行動をしなかったからきつい制裁を加えるだけです。それは複雑な感情も思考も存在しないと思います。
人に対しても「ガッ!!」と口を開けて歯を当てようとする、のはまだ優しい方で、キツイと「ガガッ!」と前歯で挟むように噛みます。攻撃とは明らかに違います(攻撃は噛み付いて頭を振ります)。犬同士でも皮膚に穴が開いたりするほど噛むのです。
ですが、これはお母さん犬が仔犬を躾けるときにも使う行動ですし、その際にも仔犬が「キャンッ!」と鳴くほど、強い力で歯を当てます。
人にとっては「噛むなんてひどい!こんなに可愛がってやってるのに!」ですが、犬にとっては、普通の行為。いかに愛情をささげていると飼い主が思っていても、犬が人を部下と見ている時点では人を支配しているのですから、部下の言う事を聞く必要はありませんし、自分に尽くすのは当然の事です。

ましてや、自分がイヤな事をされたりさせられそうになったりした時には、制裁を加えるのに何の躊躇が必要でしょうか。
繰り返されると犬も「いい加減にしろ!」と怒ります。「ギャワワワン!」というような悲鳴のような叫び声を上げながら噛み付く場合、本気で攻撃するのではないにせよ、犬も決意を決め、思い切って向かって行っている証拠です。そうなると大変危険です。

犬の精神世界に人の思考の世界を持ち込んでも、通じないということです。
「お母さんが悲しいから、○○ちゃん、ちゃんと言う事きいてね」と言っても通じません。

掘さんの使う驚愕刺激(不快刺激)が、暴力でない証拠として、それを使うと、離れている犬も必ず手元に戻ってきます。暴力だと犬が感じたら、恐怖の対象に戻っては来ないでしょう。また、暴力が怖くて戻って来ても、耳は伏せ、おどおどビクビクしながら戻って来ます。そのうち脅してもすかしても戻って来なくなるかもしれませんし、次はキレて攻撃に来るかもしれません(それはウチの犬だ)。
この驚愕刺激を受けた犬は、振り返って「おお、お前か。なんだ、行っちゃダメなのか」という顔はしますが、耳は平静。気持ちも落ち着いて手元に戻ってきます。

犬がリーダーである一連の問題行動は、全て「犬が人を無視している」行動です。勝手気ままに振舞う行動も、警戒し、外界に攻撃的になる行動も全ては人を無視し、犬が人を部下だと認識していることで発生します。

掘式の躾における驚愕刺激(不快刺激)は、「おい!私を無視するなよ!」という意味です。人と人とでは「ねえ!ちょっと!」と肩を強く叩く行為と同じなのです。
「こんちくしょう!言うことをきけ!」という意味ではありませんし、もし、そう思って人がそれを使った場合、犬は必ず従いませんし、陰性強化という悪い方向へと転換されてしまいます。

犬が常に人を意識することは即ち、服従している部下の行動だと言えるのです。
これが「躾」を通しての「服従」です。

人と犬とはお互いが尊重し合って暮らすべき関係だと思います。
ただ、人の社会に犬を入れ(これが逆になると問題が出る)、暮らしていく以上、人の都合に合わせて犬も暮らして行く必要があります。
ですが、それを犬に教え、納得させるには、人が人の思考の世界から、犬の直感直行の世界へ一歩踏み出し(理解し)、犬に伝えることが重要であり、近道なのです。
by totozfactory | 2006-05-07 14:47 | 犬のしつけ・訓練