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今日もトト日和 TOTO'Z FACTORY フォトグラファー&デザイナーの秋山伸子です お仕事のことや日々のあれこれを綴っています 写真のサムネイルをクリックで各記事をご覧いただけます

コマンドと無言

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たもちん真剣。
小さい目もでかい鼻の穴もエンジン全開。



田舎でも、咥えるものがあれば、こうやって真剣に咥えて執着していたたもちん。
家でもやります(悲)。

朝、リビングで食事とトイレを終えたら、外に出します。外といっても、リビング以外。今日のようなさわやか~な風が吹く日は、仕事部屋(寝室兼パソ部屋)から廊下、玄関、台所、洗面所と、全てフリー状態。
トトとたもんを部屋から出したあとは、洗い物をしたり、掃除をしたり。そうやってる間に、こっそりとヤツは玄関に行き、履物を咥えて仕事部屋に持って行きます。
だいたい、そこでお縄になるのだけど、あまり齧ったりはしません(イグサの草履はやられた)。
咥えてる現場を見つかると、たいてい踊ります(笑)。それ以外は、その場に落として「ボクじゃないです」と言う顔をしています(オマエのほかにダレがやるんじゃ)。







人と違って、犬や猫、特に犬は手のかわりに口を使います。犬の問題行動と言われるものはほぼ口に集約されてるのではないでしょうか。
「噛む・吠える・破壊する」などなど。

特に、たもんのように、モノに執着する「物欲の強い犬」は、口の問題が顕著です。
なんでも咥えたい。持ち去りたい。

世の中の躾の本にはなんと書いてあるでしょうか。全ては私は知りません。
ですが、「コラ!と大きな声で叱って取り上げる」「取り上げた後、ダメ!など声で叱る」と書いてある本もあるかと思います。

たもんのような犬の場合、履物を咥えて持って行くのは「自分が優位であるという意思表示」「仲間(私)を呼びたい行動」「強い物品欲」の3つが主な目的です。

見つかった時、咥えて踊るような仕草をするのは「こっち来て楽しもうぜ」、または「オレは強いんだぜ」という意思表示です。

そういうときに声を上げて叱るなどの反応はさらなる興奮を呼びます。
「出せ」と引っ張ろうとすると「よし、負けないぜ!」とやっきになって引っ張りっこが始まります。

そういう時に「ああ~~!!やめて!壊れる!!ダメダメ!!」などの声かけは、余計に興奮させ、どんどん引っ張ります。

では、こういう物品欲が強く、すぐモノを持ち去る犬はどうするか。

一つは「上位の犬」の方法を使います。

履物を床に置いてフセているような時に、無言で近づき、そっと取り、そのまま無言で去ります。

これは上位の犬が下位の犬からオモチャや食べ物を取る時の行動です。

トトがたもんからおもちゃを取るときも、何気なく近づき、黙って咥えてスッと持ち去ります。
このとき、下位の犬は上位の犬に逆らいません。黙って見送っています。

ある程度、躾が出来た犬の場合限定ですが、この上位の犬の行動を真似るとスムーズに行きます。私もたもんから履物を取り返すときは、黙って近づき、たもんを無視(顔を見たり声をかけたりしない)しながら、履物を普通に取り、そのまま玄関に戻しに行きます。
たもんはこういう時はやはり、ボンヤリと見送っていて、反応をしません。

この時、重要なのは「代わりの物を与えない」です。
「これはダメだけど、これならいいから」と違う物を与えては絶対にいけません。

逆に、咥えて踊っているような場合、咥えた履物を黙って取ろうとしても取らせません。
引っ張りっこが始まってしまいます。

そういう時はコマンドを使います。

大事なのは、片手でなく両手でしっかりと履物を持ち、鋭く一声、「出せ!」
出すまで繰り返します。
このときは不快刺激などは与えません。

すると何回かの後、ぱっと放します。そしたら「ヨシ」と声をかけ、履物を取ります。

これは「持来」の訓練を受けた犬限定ですが、訓練を受けるとこれが可能になります。
「出せ」というコマンドは犬にとっては「条件づけ」された「反応」です。

例えば、訓練では「出せ」と言って犬が訓練用のパットなどを放したら、すかさず「ヨシ」と褒めてまた同じもので引っ張りっこをしてやるなどをし、この条件づけを強化します。
条件づけが強化されると、「コマンドでものを放す」という行為が犬の反応となります。

たもんのような物品欲の強い、興奮する犬でも、この「反応」が起こるため、素直にものを出すのです。

持来の訓練において、ダンベルをしっかりと咥え、人のもとに持って来、「出せ」のコマンドが出るまでは咥えることを保持しておく。
そして人がダンベルを両手で受け、「出せ」のコマンドが発せられると、すぐに放す。
この訓練は日常生活においても非常に重要で有効である、ということは以前にも触れました。

たもんの場合は、過去のように今ほど服従心もなく、この訓練も強化されていない時点で、このような物品を咥えている場合、引っ張りっこは非常に危険です。力づくで咥えたものを取り上げた場合、必ず噛み付いてきました。攻撃ではありませんが、「オレのものを取った!」という文句です。ましてや、力づく、と言っても万力のような力で咥えた物はたやすく取り上げることなど出来ません。さらにたもんは、例え物と一緒に吊り上げられたとしても、スッポンのように咥えて放さないのです。
なので、以前はウチは引っ張りっこは禁止されてました。訓練を受けていなかったたもんにとってはこの行為が遊びとは認識されず、また、さらに噛むことを助長し、大変危険だからです。

持来の訓練がきちんと成されると、たもんのようなこういう犬でも、コマンドに素直に反応します。(もちろん、躾もある程度されたためでもあります)

たもんは、物品欲が非常に強い犬なので、持来から発展する襲撃訓練なども、逆にやりやすい犬だと言われます。
トトはたもんほど物品欲は強くないのですが、ボールを追うのが大好きなところを見ると、やはり持来はできる犬だと言われます。ただ私が今まで上手に訓練してやれなかっただけです。ただ、襲撃訓練などには発展しにくいと思われます。


前述のように履物を床に置いてフセているような時も、黙って取っても構わないのですが、「ヨシ、咥え」とコマンドを出し、履物を再び咥えさせ、「出せ」のコマンドを出して受け取っても構わないのです。
応用として、床に落とした物を拾ったりも出来るようになるのです。

躾と共に行われる持来の訓練は、物品欲が強く、取り上げるのが危険な犬にも非常に有効である訓練であり、全ての高等訓練につながる重要な訓練でもあるのです。
by totozfactory | 2006-08-28 12:48 | 犬のしつけ・訓練