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今日もトト日和 TOTO'Z FACTORY フォトグラファー&デザイナーの秋山伸子です お仕事のことや日々のあれこれを綴っています 写真のサムネイルをクリックで各記事をご覧いただけます

クレートって必要ですか?

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トトの「巣」

*メッシュが破れているのはトトちゃんのケツ圧です。でも出入り自由なので、そのまんまにしてます^^;
ファンシーな安物の羽布団を上にかけてるのも気にしないで下さい^^;
(夜は布団で覆ってしまいます。するととっても暖かいのです。
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たもんの「巣」

*クッションカバーが破れているのは、ヤツがやったことです。それでも被害は少なくなったもんだよ・・(以前はバリバリに破壊したりしてたもん)。ちょっとは成長したと、あまり細かくは言いません。はい。
たもんの巣も、夜はフリースや、とことん寒いときはダンボールで覆って真っ暗にしてやります。

よく、いろんな犬飼いの人に「家の中でクレートに入れないといけないんですか?クレートって必要ですか?」と聞かれます。

私は「はい。必要だと思います。」と答えます。




うちの犬達は、夜しかクレートに入りません。たもんのケージはたもんが入ったら扉を閉め、翌朝の朝ごはんまで出しません。
トトは24時間フリー生活です。以前はこのたもんが使ってるケージに入ってました。
メッシュケージは、破れてしまってるし、出入り自由だから、彼女は好きな場所に寝ても良いとしてますが、それでも夜中は2回ほど「ベッドに入れて」と来ますが、短時間で暑くなるので、ほとんど自主的にここに入って寝ています。
どこに寝ても構わない、と認めていても彼女にとっては「私の場所」なのです。私が仕事をしている時も、この中で寝ている事が多いです。


たもんは、トトのようにお行儀が自主的に出来ない段階ですから、フリーは認めてません。
それでも昼間は留守番せてもなにをさせても、黙ってソファや床の決まった場所に寝ていることが出来るようにまでなってきました。
(たまに雑誌を破いたりするけど)
その時も「ハウス」をたとえ命じたとしても、彼は素直に一発で入ります。
24時間フリーの生活は、選ばれた犬だけが出来る「特権」だと私は思います。



クレートやバリケンなど、ハイカラな名前で呼ぶより、私は「巣」と呼ぶ方が、しっくり来るような気がします。

家の中はその犬達の「なわばり(テリトリー)」です。彼らはテリトリーを守るため、番犬をしたり、1日中「仕事」をしています。
本来、テリトリーの見回りや、敵の進入を真っ先に見つけ(常に警戒し)、排除にかかるのは、リーダー犬の役割です。リーダーの攻撃と共に、従っている仲間も攻撃します。
「攻撃」とは、実際噛み付くなどの行為だけでなく、「吠え掛かる」行為も敵を排除するための攻撃の一つです。

私は、堀さんに「犬の世界に人間が入った状態はいけない。人の世界に犬を入れないと。」と言われ続け、教え続けられてきました。
人がリーダーとなる世界では、従うべき者達(犬達)はリーダー行動を見せません。
来客が来ようと、配達が来ようと、目を向け、注意を払いますが、「リーダー、あとはよろしくね」と自ら敵の排除には向かいません。
ピンポンが鳴った途端、激しく吠え、先頭を切って玄関に突っ走っていく行為は、リーダー行動以外の何物でもありません。

犬にとって、家の中は自分の居場所、なわばりなのですが、そこにはやはり個々のくつろぐべきスペースが必要だと私は考えます。

「仕事」をしなくても良い場所です。

広い縄張りの中でも、そこにいると安心して眠れる。ここは私だけの場所---
そういう役割の「巣」は犬の精神の安定のためにも必要だと思います。

なので、堀さんは、「犬がケージに逃げ込んだら、絶対追い詰めて引きずりだすなんて行為をしてはいけない。ケージの中に犬が逃げ込んだら、自主的に出てくるまで知らん顔するしかないんじゃ。だから、躾をする時にはケージは閉めておかんとイカンよ。」と言います。

人もまた、犬の安心できるスペースを侵してはいけない。

「自由に家中を好き放題動ける方が、犬にとっては楽しいじゃないか。人間も犬の気持ちを尊重してあげたいから」と言う方がいますが、それは違うと思います。

たとえ、家のスペースの問題で、クレートやケージが置けなくても、その犬専用の場所をきちんと作り、「ここはお前の場所」としてあげることが「尊重」なのです。出来れば背後も側面にも壁がある比較的閉鎖的な場所が望ましいと思います。

「私の場所、私の巣」がある犬はむやみやたらと家の中をウロウロしません。
また、留守番をしている時は、きちんとその場所で眠って待っています。

たもんは、かつて、自分が眠りたい時以外に「ハウス」を命じられるととことん拒否し、「うがーー!」と食ってかかったり、いつまでウロウロと逃げ回ったりしていました。
そんなたもんでも、自分がきちんと眠りたい時には、黙ってケージに入り、扉を閉められても文句も言わずグースカ眠っていたのです。

彼の「自由」を尊重し、ケージを置かず、室内フリーにしてたら、彼は夜中でもウロウロしたり、人を呼んだり、モノを破壊したりしていたでしょう。
彼にとっては家の中にいようが何しようが、「なわばりを動き回るのなら、警戒という仕事を一瞬も怠ってはいけない」のですから。

また、「ハウス」は大切な躾でもあります。
命じられたとき、素直に入る事が出来ない犬、入ってもすぐ「出せ!」と吠えたり暴れたりする犬は、その犬がリーダーなのです。
吠えるから、うるさいからと、すぐ犬を出しては、ますます犬のリーダー行動を認め、「人が犬の世界にいる」「犬に支配されている」状態に拍車をかけます。
いつでも、どんな時でも、「ハウス」と命じられたら素直に入ることが出来、「出なさい」という指示がある時まで大人しく入っている事が出来てこそ、「従うべき者」なのです。
(出るときにも、扉を開け放たれても、指示があるまで勝手に出てはいけない。これが「けじめ」です。)

ケージに入れる躾は、病院に入院させる、車に乗せる、他人に預ける、などの機会にも、大変重宝されます。
我が家は車はフリーで乗せてますが、犬達には「ハウス」というコマンドを使います。
犬達も、後部座席が自分達のスペースであることを認識しています。

病院に預ける場合でも「ハウス」のコマンドで素直に入ります。閉鎖的な空間は、病気で入院する犬にとっても、安心できる場所でもあります。(入院ケージはたいてい背後も側面も壁だから)

もし、病院でも、自由な状態に置かれていたらどうでしょう?
犬は病気でも何でも安心してその場に居れないでしょう。

日頃から家の中でも「巣」を作ってやることで、「そこに入ると安心」という条件がつきます。
その条件は上記のような場面でも生かされるのです。

暗く、狭い空間で良いのです。もともと犬は穴にもぐるのが大好きな動物だからです。
人が布団をかぶると安心して眠れるように、犬にも安心して休める場所が必要です。


ですから、ケージやクレートを「罰」の場として使ってはいけません。
「悪いことしたから入ってなさい!」は犬には通じないのです。
それをすると犬はますます入ることがイヤになり、「安心できる場」から遠ざかっていきます。
無理やり入れられた犬は、不満を抱き、「従うべき者」だと思っている人間に対して文句行動を起こします。
もし、拒否する犬に対して「ハウス」とあなたが命じたのなら、どれだけ時間がかかっても、どれだけ犬が逃げまわっても、必ず最後にはケージに入れてください。
一旦命じたコマンドは絶対で、逃げ得をさせてはいけません。

犬は人より頑固なことは言いません。
拒絶していても、きちっとした手順で正しくケージに誘導すれば、最初は怒って暴れていた犬も、納得し、すっと入るようになるのです。
こういう事一つとっても「納得」が必要です。
これをとことん繰り返し、「ハウス」で「素直に入る」条件づけを強化するのです。
抱きかかえたり、押し込んだりして無理やり入れては次回から拒絶はさらに強くなります。
そこには「納得」が存在しないのですから。
by totozfactory | 2007-02-27 14:28 | 犬のしつけ・訓練