大人になれない

私は世間で言う大人である。一応・・・たぶん・・・。
でもこれだけは「大人になれない」というものがある。それが「歯医者」。もうダメぽもいいところだ。



思い起こせば子供のころ、さんざん甘いものを食べ、ケアを怠ったために虫歯なり放題。当然のように削られる歯。あの脳天突き破るほどの痛み。脳みそのシワの隅々まで刻み込まれた「歯医者怖い（まんじゅう怖いじゃないが）」。
大人になって出来る限りきちんと歯磨きし、ケアしてきたがそれでもこうやって詰め物が取れたりして行かざるを得ない状態になる。大人になってからも、歯を削る痛みは全くダメで、以前かなりの麻酔を打っても効かず（そういう歯があるらしい）、恐怖と苦痛と痛みに脳貧血を起こしたことがある。
歯医者イヤなの！怖いの！怖いの！！わーん！！（←すでに大人げゼロ）

そうは言っても刻々と迫る予約の時間。暗い気持ちで元町にある歯科に向かった。緊張してだんだん手が冷たくなってくるよ～。ああ神様仏様！痛くありませんよーに！「おや、この歯も悪いですねえ。おや、この親不知は抜かないとダメですねえ」なーんて事言われませんよーに！！きえええ！！
南京街ではなんだかにぎやかに京劇のメイクをした集団がパレードしてたり、平日というのに観光客でごったがえしている。そんな中を薄暗くなりながら歩く私。

歯科医院に到着し、すぐに呼ばれてイスに座る。心臓はバクバク。さっきトイレ借りたのに、もうおしっこチビりそうである。ああ、ダメ。大人なんだから失禁しちゃ。
「うわーん！怖いよイヤだよー！！先生ぇ麻酔してくだされーー！何本でも打ってくだされぇー！意識無くなっていいっすから！！」と思わず懇願しそうになる。

ハイハイ、取れたんですね、と先生は元の歯に合わせて見ながら「虫歯もないし、大丈夫だからもう一回つけましょうね。」とボンドのようなものでさっさと歯にくっつけた。はい。お仕舞い。全体を見て「虫歯もないですね。」

・・・・・・・・・・ニョロニョロニョロ（←緊張が切れて脳みそが溶け出す音）。
あああ・・・良かった・・・・良かった・・・・神様仏様ありがとう！これで帰りに豚まん買えるよ！（違）

でも、いっこだけ気になっていた箇所。１本だけある親不知である。これは真横に生えていて、歯茎がかぶさっている。隣の歯とのわずかな隙間に食べ物が挟まってちょっと不自由なのよね、と勇気を出して聞いてみた。
「あの、この親不知、抜くとなるとえらいこっちゃですか？（言葉がおかしい）」
先生はふふふ、と笑って
「ちょっとえらいこっちゃやね（笑）。真横になってるから歯茎を切開して歯を２つに割って、上を取って次は根っこと、２回に分けて抜かないとダメやね。当然腫れるしねえ。まあ今痛みが無いのなら様子見でいいと思うよ。いずれは抜かないとダメかもしれないけどね。ふふふ。」
先生、いつもクールですわ。
話を聞いただけでも脳貧血起こしそうだったので、そそくさと帰ってきた。
は～～昨日に引き続きだけど、一応検診も出来たし、よしとしよう。これも「災い転じて福となす」だ。