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今日もトト日和 TOTO'Z FACTORY フォトグラファー&デザイナーの秋山伸子です お仕事のことや日々のあれこれを綴っています 写真のサムネイルをクリックで各記事をご覧いただけます

こりゃあ いい

こりゃあ いい_a0034287_23503148.jpg先日、小さな傷を作った。傷自体は小さいが、結構深くて、かなりの流血になった。普通のバンドエイドを貼っていたけど、血がにじみでてくる。服にもつく場所なので、そうだ、とこれを買ってきた。




このバンドエイド「傷パワーパッド」は最近ようやく浸透してきた「傷を消毒しない」「乾燥させない」という治療方法を生かした製品である。この外装をはがすと、半透明で肌色のグミのような素材が出てくる。これを綺麗に洗った傷(消毒してはいけません)に貼り付けるだけ。素材は親水ポリマーを主成分とする、ハイドロコロイドというもので、医療の現場では人口肛門の材料として以前より使われてきたものだそうだ。
まず傷は受傷したらできるだけ速やかにぬるま湯が水で綺麗に洗う。患部についたゴミや細菌を洗い流すためである。消毒薬は使ってはいけない。消毒薬はバイ菌マンも殺すが自分の身体に住む細菌も殺すからである。傷の治りが遅くなるばかりか、受傷時についた細菌(バイ菌マン)にやられてしまう可能性もあるからだ(だいたい、消毒薬で全ての菌は殺せない)。そのあと、これをペタリと貼る。それだけ。

普通の絆創膏だと、貼っていてもジワジワと血がにじんできていたのに、これを貼ると血が止まる。説明書の通り、すぐに白くプックリとハイドロコロイドが膨れてきた。これは傷から出る体液を吸ってゼリー状になっているのだ。この体液は以前はガーゼなどで吸い取り出来るだけ乾燥させるという方法が奨励されていたが、それはかえって傷の治りを遅くする原因となっていたらしい。この「体液」の中では、白血球や血小板などが傷を治そうと周囲に集まり、連係して働くため、細胞成長因子という伝達物質が放出されて情報のやり取りが行われているのだが、ガーゼを当てると、その大事な物質を含む体液が吸い取られ乾いてしまうのだ。もちろん、傷から出る液体が黄色をしていると化膿しているので、感染症の治療もしなくてはいけない。感染を起こしていない体液は透明で、わずかに血のような薄いピンク色をしている。

説明書には「最大5日貼りっぱなしでもOK」とあるが、私は2~3日ではがして貼り直した。というのは、確かに防水性にも優れているが、擦れたりすると周囲が剥がれてくるのだ。
私の傷も現在では体液が出ることも無くなった。まだ皮膚は再生していないが、肉が戻ってきて、あとは皮膚になればお仕舞いという状態だ。これの利点は「かさぶた」も出来ないことである。以前、近所の飼い猫(←これ強調)「ポンちゃん」が野良猫と家のガレージでケンカしていたのを何気に止めたところ、ポンちゃんに(野良猫でなく)メッタ噛みに逢い近所の外科に通ったときも、傷は当然ひどく化膿したのだが、何が辛かったと言うと、そこの先生にかさぶたを強制的にピンセットでひっぺがされることだった。傷の痛みよりそれが辛くて2回通って断念してしまったほどだ。その先生も言っていたが、かさぶたは傷を汚くしてしまう。さらに、こういう動物に噛まれた傷はかさぶたの下で化膿が続いてしまう。できたらすぐに剥がさないといけない、ということだったが、残念ながら当時その病院は湿潤療法ではなかった。ガーゼで覆った傷はすぐにかさぶたが出来てしまい、それを剥がす痛みといったら・・(遠い目)。あのとき、こういう被覆材があれば、かさぶたも出来なかったろうに、と思う次第である。幸い、ポンちゃんに噛まれた傷は綺麗に治った。ポンちゃんの飼い主さんは後からこの話を聞き、お詫びにとウナギを買ってきてくれたものだ(笑)。(ポンちゃんも飼い主さんも悪くない。割って入った私がバカだっただけだ。)

と、いろいろ思うところはあったが、これはいい。おすすめですぞ。

+++ 傷治療に関してのおすすめサイト +++
夏井睦(なつい まこと)先生
新しい創傷治療-「消毒とガーゼ」の撲滅を目指して
by totozfactory | 2005-03-09 23:20 | 日々のこと。