2013年 10月 03日
HEAVEN
世界でも例を見ない、重いハンデを負って生まれてきたたもん。
『 動物は死ぬまで生きている 』
例えば、人間に虐待されて処分へ送られる動物も、
自分は不幸だ、とは思っていないのかもしれません。
傷つけられても、血を流しても、
自分は不幸だ こんな命に生まれてきたくなかったと
嘆くこともありません。
死が訪れる瞬間まで、生きているだけです。
たもんも、この体がこの足が、彼の標準であり、
他犬と比べて自分のハンデを嘆くことも、未来を憂えることもしません。
彼の狭い世界の中に、光をともし、こうして一緒に歩いてくれた
トトがいなくなって、彼は外へ出ることも、庭で遊ぶことも、もうしません。
うちにやってきた時から「トトがいたらそれでいい」と
他犬との接触を自らしようとしなかったたもん。
大人の犬には挨拶さえすれば構わないでいてくれると知っていました。
同じ月齢の仔犬には「近寄るな」と拒絶し、遊ぶのはトトだけでした。
年々、足は悪くなり、鎮痛剤を使う頻度は上がってきました。
毎日ひどく痛いであろう足で歩き、与えられるご飯を食べ、窓から差し込む朝日で
日向ぼっこをし、そして日が暮れハウスで眠る。
毎日毎日、同じ繰り返しです。
私と一緒にいてもうれしい顔はしますが、トトとこうやって遊んでいた時の写真を
見返してみても、当時ほどいきいきとした顔は今はあまり見られません。
たぶん、これから先、写真に残す事は出来ないと思います。
私以上に、トトがいなくなった喪失感は大きいのだと思います。
たもんにとっての天国はどこなのでしょうか。
もしかしたら、この世にはないのかもしれません。
せめて、トトと生きたこの数年間が、彼にとっての天国でありますように。
そう願わずにはいられません。