2006年 11月 28日
冬の怪談
それはけいちゃんが帰宅している時のお話・・・。
夜もふけ、けいちゃんは家を目指し、せっせと歩いていた。
丘陵地の住宅街。駅からの坂道を上がり、少し下って右に曲がればもうすぐ家。その曲がり角まで差し掛かった時、坂を上がって来る人影に気がついた。
頭をがっくりと下げ、両手はダラリと垂らし、髪を揺らしながらぎく・・・ぎく・・・とゆっくり歩いて来る。
年の頃は二十代・・・。
「気持ち悪いな」と思いつつ、けいちゃんはその女性とすれ違った。すれ違わないと家には帰れない。
調度横に並んだ時、その女性がユサリ・・と頭をまわし、けいちゃんを見た。
その女性には
口が無かった。
鼻から下がのっぺらぼうのようで、びっくりしたけいちゃんは驚きのあまり何も言えず、そのまますれ違ってしまった。
全身が総毛だったらしい。
女性はまた頭を下に向け、ぎく・・・ぎく・・・・と歩いて行った。
ウチの近所には「口無し女」が生息しているようです。
(これはホントの話し)
ちなみに、けいちゃんはシラフでした(笑)。