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今日もトト日和 TOTO'Z FACTORY フォトグラファー&デザイナーの秋山伸子です お仕事のことや日々のあれこれを綴っています 写真のサムネイルをクリックで各記事をご覧いただけます

相互理解 爪切りの憂鬱解消

たいていの犬が(猫も含め)爪切りという行為は嫌いなのではないだろうか。
我が家の犬も御多分にもれず、「出来れば死ぬまでしたくない」ほどの嫌がりっぷり。



ガウガウだった頃のたもん(今でもそうですけどね)の抵抗はそりゃもう激しくて、マズル(口輪)をしないと絶対ザクザクに噛まれていただろう。
きちんとフセをさせた後でも、少しでも手を持つと「うがああっ!!」と跳ね起き、ガガガ!!と強く噛んできていた。

特に前足がイヤで、少しでも触ろうものなら「イヤだっ!触るなあっ!!」とあらん限りの力を振り絞り、暴れまわり、切るなんて行為絶対させなかった。

それでは困る。のだ。

トトの抵抗は「ああ~~やめてぇ~~」という程度のもので、頑張って手を引っこ抜こうとするくらい。噛んだり怒ったりはしない。鼻水垂らして世界で一番悲しい私を演出してみせる(無駄な抵抗)。

たもんの暴れっぷり怒りっぷりには、当初から困っていて、堀さんにも相談していた。
一応やり方を教わったのだけど、どうしてもうまく行かなくて、抵抗は相変わらずだった。

爪切りと思うだけで私も憂鬱になる。緊張する。
その緊張がたもんにも伝わり、お互いが緊張と格闘のデフレスパイラフ(意味不明)になっていたのだ。私もイヤなのでつい日が開いてしまっていた。(そしてますます爪が伸びる、抵抗が激しくなるという悪循環)

それでも、躾をしていくうち、なんとかかんとか、後ろ足は切らせるようにはなった。
「はい、ネンネ」というと自分からゴロンと横になり、脱力してくれるのだが、前足を持つとバッ!と飛び起き「イヤだっ!イヤだからねっ!!」と逃げようとする。

「逃げさせてはいけない。」という鉄則通り短く係留し、ガッチリとリードを踏んでいても、あのバカ力でローリングされたら私だってこらえられない。

基本は係留し、犬を立たせて人の体で上からガッチリと(しかし優しく)ロックをし、絶対に逃げられないようにしながら、黙って切ることだ。
足を持って「うがっ!」と犬が暴れようとしたら、じっと待ってやる。
しばらしくして静かになればまた切る。
(あまりにも怒って暴れる犬にはもう一段階不快刺激が入るのだがここでは割愛)

大事なのは
「絶対叱らない」
「犬が納得するまで待ってやる」
「逃げさせない」

本来は何時間かかっても最後までやり遂げるのがよいのだが、1日爪一本でもいい。それを毎日やってもいい。これはイヤな事でもそれは大した事ではないという躾として、心理学で言う曝露法や洪水法とも呼ぶ方法で、音響シャイを直す方法もこれと同じ。

たもんは室内で係留し、立たせて切るというのが難しかったので、ゴロリと寝てもらっていた。
彼が落ち着いているときは、30分ほどで全部何とか切っていたのだが、それでも前足の抵抗は強く残っていた(結局切らせるのだが)。

彼が横になっている姿勢で、私が前に座って切る、というのはやはり「一体感」が足りない。
つまり「相互理解」がない状態なのだ。
それはやっぱりイマイチだな、と感じていた。彼の抵抗もこのあたりにあると思った。

立たせて切ることは出来ないけれど同じような姿勢で切ればもう少し変わるかもしれないと思ったのは大正解だった。

係留し、彼をフセさせる。
切りたい手の反対側に私が座り、彼に上から覆いかぶさるように右手で首を抱き、左手で足を持つ。(この場合は左足)
体を密着させ、首をロックしている形だけど、別に力も入れていない。肝心なのは「密着させる」ということなので、きつく抱いてはいけない。

この時絶対声をかけてはいけない。
前足を持つ。
ビクッ!とした時は、黙ってじっと待ってやる。
体はぴったりと密着して「相互理解」をとっている。

そしてパチンと切る。
ヨシヨシ・・・と首をさすって優しく撫でてやる。
また足を持つ。切る。の繰り返し。

反対側の足の時は、体の反対側に移動して密着してもいいし、そのままでも、とにかく体が密着できていれば、たもんは驚くほど大人しく切らせることが分かった。

やっぱりそうだよ。一体になってなかったんだよ。
それでも前足以外は切らせてくれてたが、やはり不安だったのだろう。

今は口輪すら必要ないくらい、たもんも落ち着いて黙って切られている。

前足、特に外側の2本の爪は「命かけて抵抗するぜ」というほど抵抗していた。
手で触るのはいいのに、爪切りの金属が当たった途端、ビクッ!と手を引っ込める。
イヤなんだな、気持ち悪いんだろうな、と思うが、その爪を切らないとものすごく長くなってしまうのだ。無理やり手を持つと、立ち上がり逃げようとしたり、怒ったり。


それがこの方法にしてからは、抵抗なし。
少し引っ込めようとしても、その時は黙って首を抱いて、待ってやるとすぐに抵抗をしなくなる。
同じように手をグッと持っても、反応が全然違うのだ。

トトも、対面して切っている時は、必死で手を引っこ抜こうとしていたのだが(大した抵抗ではないにせよ)、同じ方法で切ると、より一層楽に切れた。

相互理解、一体になる、というのが本当に大事だと、今更ながら実感している。

爪切りに激しい抵抗をされる飼い主の皆さん、ぜひお試しあれ。
堀さんの躾に通ってる方も、相互理解がイマイチ、ピンと来ない方は、こういうやり方でも実感できます。

上記の基本
「絶対叱らない」
「犬が納得するまで待ってやる」
「逃げさせない」
「何時間かかっても最後まで(たとえ爪一本でも)やり遂げる」
は同じ。

そして一番大事なのは「一体になる(体を密着させる)」です。

*動物病院でも見事な暴れっぷりを見せる犬はぜひ同じ方法で保定してみてください。驚くほど犬が静かになります。それでも噛み付く危険のある犬は口輪も併用することが大事です。
by totozfactory | 2007-03-09 16:25 | 犬のしつけ・訓練