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今日もトト日和 TOTO'Z FACTORY フォトグラファー&デザイナーの秋山伸子です お仕事のことや日々のあれこれを綴っています 写真のサムネイルをクリックで各記事をご覧いただけます

それはそれ これはこれ

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・・・目・・ちっちゃいね・・。

ムッとした顔で、いつも見つめるたもん君。



昨日、亡きジャックさんのママが旅行に行ったお土産を持って家を訪ねてくれた。
庭にいたたもんはえらそうにワンワン吠えている。

「あ、たもちん、おるん?元気なん?」
「元気やで~~~」
と言ってちょっと入ってもらった。

*玄関と庭とを仕切るドアをつけているので、犬達は勝手に出てきたりできません。人が来てもドアをぶち破らない限り大丈夫かと思われます。あえて人が手を出さない限り接触も出来ません。

「たもん~~~!元気そうやん!」と声をかけてくれたジャックママさんに、「なんじゃうるぁ!!」とガウガウ吠える(-_-;)オイオイ・・・

横にいる私が制止のサインを出すと、黙って座った。
「おお!すごいやん!!」とジャックママさんは言ってくれた。
でしょ・・・ちょび~~~っとは進歩したのよ・・・。とほほ。

ジャックママさんも、たもんの性格はよく分かってるので、無闇に手を出したりそれ以上声をかけたりしないで、「はいはい。またね~」と玄関に引き返してくれた・・すまんっす・・・。

たもんは、ジャックさんのママを分かってないのではなく、きちんと見分けている。
散歩で出会っても、彼はこんな反応は全く見せないのだ。(認識したあとは、どの人も無視)
彼は一度会った人はまず記憶していると思う。

仔犬の時から会っていた、友達関係を含め、全ての人を記憶しているが、車に乗っている時や、こういう自分のテリトリーに入って来た時は、知らない人と同じ態度で警戒するのだ。
ましてや自分を見つめながら寄ってこられると、知り合いだろうが何だろうが、彼にとっては「ケンカ上等!かかってこんかい」なのだ。(お前がケンカ売ってんだろうが)
(後記*参照)


マミどんだって、仔犬の時からさんざん会っていた。
たまに、アルバ様のお散歩にお供する時があるのだが、たもんは「おお、お前か」という顔で平然としている。(確認した後はやっぱり無関心)
愛想もクソもないが、一緒に歩いたり、横でしゃべっていたりするのは全然平気。警戒もしないし、アルバにも意地悪は言わない。

なのに、車に乗っていて、マミどんが横を通ったら、やっぱり警戒して吠えるのだ。
彼女が家に来てくれたときも、「う~~・・・」といまだに唸る。(-_-;)オイオイ・・・


究極を言えば、うちのけいちゃん。
彼はたもんにとって最も近しい「家族」なのに、爪切りや、病院での保定はさせない。
傷の手当てなんて、興奮して怒って傍にも寄らせないのだ。
「ハウス」というコマンド一つとっても、私とでは全く聞き方が違う。
彼が言うと「入ろうかな~~どうしようかな~~、まずオシッコするわ」というように、違う事をする事でコマンドを避けようとするのだ。
「ハウスって言ったって入らないんだもん。」と言うが私がハウスと言うと一発で入るじゃないか。
「言う事聞く気がない」だけなのだ。

たもんにとって、私はおそらく最も「言う事に耳を傾けてやってもいい相手」なのだと思う。

たもんは憧れる人も多い「ワンマンドッグ」なのだろうけど、それでも完全に私のいう事をきくわけじゃない。「聞く気になる度合いが最も高い人」程度だ。

彼は今でも「支配する者」になりたいと思っている。
トトよりも必ずアドバンテージを取りたいとも思っているし、私が許せばいつでもリーダーに返り咲くだろう。

車に乗せていても、私が乗っている間は前にも来ず、後ろに大人しくいるが、私が車から下りたら「さあ、仕事だ仕事」とばかりに、車というテリトリーを守る番犬に変身する。

車に近寄る者、ちらっと見える不審な者(それは全てたもんの勝手な判断)には猛然と吠え掛かっている。
前の座席まで来て、フロントガラスに鼻水をつけながら、ケルベロスのような形相で吠えているので、施錠しなくてもきっと私の車には誰も泥棒は入るまい、と思うほどだ。
こういう時、もし手を出されたら100パーセント噛むと思う。なので人の手が入るくらい窓を開けないといけないときは、マズルガードは必須。(訓練所では分かってる人が集まる場所なのでしませんが)

それでも私が制止のサインを出しながら車に戻る姿を見つけると、ピタリと吠えるのをやめ、ザリガニが後ろ向きにスルスルと動くように、彼もまたスルスル・・と後部座席に戻り、大人しく伏せるのだ。

以前は、私がドアを開けようが何しようが、吠えるのをやめず、手でさえぎったらその手にガブッ!!ときていた。
「邪魔すんな!」という制裁そのもの。犬を見て吠えてる時は興奮度合いもマックスなので、もちろん何度も犬歯が腕に入るほど噛まれた。

それも今はない。

警戒しなくてもいいよ、世の中は君が思うほど危険が一杯じゃない。世の中はみんな敵じゃないといくら言っても通じないのが犬の悲しいところ。

自分の群れの中においても、「それはそれ、これはこれ」を貫く彼なのだから、社会に対してはもっとシビアだ。

どこから見ても怖い犬。容赦ない犬。荒い犬、きつい犬。

友達と話しをしていても、例えば私と友達との間で喧嘩になった時、たもんは迷わず友達を攻撃するだろう。

堀さんにも
「たとえ、ワシがたもんを何年世話しようが、どれほど預かろうが、預かったときどれほど信頼関係が出来ていようが、アンタの群れに戻った瞬間、たもんにとってはワシは敵なんじゃよ。どの犬もそうじゃが、ワシは基本的には預かりから家族に返した犬は触らない。それはそういう意味なんじゃ。たもんは個性の強い犬じゃから余計じゃ。」
と言われた。

たいていの犬は、友達同士でケンカしようが、誰かがふいに近寄って来ようが、警戒はみんなするのだが、そこから攻撃に転じたりはしない。
様子を伺い、大して危険じゃないと判断したら警戒を解くのが普通だ。

たもんは、たとえグタ~ッと私の横で寝コケているように見えても、必ず警戒を解いていない。
その証拠に、相手がちょっとイレギュラーな動きをした途端、勢いよく跳ね起きて「いつでも攻撃するぜ」という視線を相手に向ける。

トトを人を見たら警戒し、その時が来たら迷わず攻撃する犬に出来ないのと同じで、たもんを、誰を見ても、どんな犬がいても、尻尾フリフリで愛想するような犬には出来ない。
社会に対して関心がない彼はもともとそういう事を望んでいないからだ。
(なので社会が自分に関心を持つと非常に警戒し、敵対意識を持つ)
赤ちゃんの頃から会っていた知人にも「いつでもオレはやるぜ」という視線を向けるのは、私にとっては非常に悲しい事だ。

トトだけを連れていたときには、木々の緑を感じ、写真を撮ったりのんびり楽しめた散歩も、彼を連れるようになってからは、常に私が彼以上にアンテナを張り巡らし、人がどこにいるか、犬がどこにいるか、また足元のたもんはきちっと歩けているか、見張っていないといけない。
彼を連れて日中外を歩く事さえ出来なかった当時に比べると、トトとの2頭引きも出来るようになった今は格段に進歩してるのだろうが、楽しくない散歩には変わりない。


年齢とともに、ガーガー吠えるのもなくなってくる、と堀さんは言う。
カミソリのような所も、年齢とともに多少なりとも丸くなってくるのだろうか。
(無理っぽいけど)
それでも「アカンよ!」という声に耳を傾けて我慢してくれるようになった事は進歩したと思うのだ。

彼は我慢しているだけ。
そう、それだけなのだ。

「それはそれ、これはこれ」と言う犬は、非常に飼いにくい。
会い続けている友達でさえ、彼に関しては私は常に気を抜けないからだ。

私がある日死んでしまったら、翌日にはケロリとして慕う相手をチェンジしてくれたらいいのだけど、とそんな事を願うのは変だろうか。
トトには望まないクセに、たもんにはそう望んでやまないのだ。


*警戒する犬に対する正しい行動は「無視する。犬がいないかのように振舞う」のが一番警戒をされません。でも、普通に犬を飼っている人でも、どうしてもその犬を見ながら名前を呼びながら寄ってきてしまうのは仕方ないと思います。たいていの犬はそれで尻尾フリフリ嬉しい~♪とやるのですから。
なので、こういう強く警戒をする犬がいるお宅にお邪魔するときには、どうぞ無視をしてやってください。5分か10分でいいんです。まるでその犬がいないかのように振舞って、飼い主とリラックスしてお話をしてやってください。
その態度こそが「この家のリーダーはお前の飼い主であり、私はお前には支配はされないよ。」というサインでもあります。飼い主をほっておいて、先に犬を構う行為は、犬がリーダーだと他人すら認めているという状態になります。
10分ほど知らん顔をしたら、たいていどの犬も(警戒は緩めないにせよ)、興奮状態からは落ち着くはずです。
臆病な犬にも同じ方法を使ってください。震えて逃げ回る犬に対して声をかけたりなだめたりする行為は、助長するだけです。
無視しておいて、犬が寄ってきても知らん顔してください。警戒する犬も臆病な犬も、「お前の存在は大したことじゃない」というサインを出してやることが、大切です。
触りたいでしょうが、そこはグッと我慢して、出来るだけ最後まで。そのうちに、あなたのことを警戒しなくなり、横に来てリラックスしてくれるようになるかもしれません。それをしない人よりする人の方がずっと早く犬は寄ってくるようになります。
マウントされそうになったりしたら、犬の顔を見ず、声を出さず、そっと手で犬の胸を押しのけてください。いつでもどんな時でも、声かけや過剰な反応は興奮を呼ぶだけです。(騒いでしまってマウントしている犬に噛まれる人もいるのですから。)
by totozfactory | 2007-03-24 12:21 | 犬のしつけ・訓練