2007年 10月 19日
神戸港の伝説 エイと戦う男
バイクなりでおっちゃん釣りダーや、明らかに「仕事サボッてるでしょ」と言いたくなるような、
スーツのおっちゃんが話しかけてくる。
「今日は何釣れる?」
「お、アジか、昨日はイワシがよ~釣れとったで。」
「今年はウルメばっかりやなあ。カタクチどこ行ったんやろう。」
「今年は海水温が高いから太刀魚はまだやな。去年は釣れとってんけどなあ。」
そういう釣りダー同士の情報交換もあるが、常連さんとおぼしき面々が、必ずと言って
いいほど語る「伝説」が、「エイと戦った男」だ。
エイって?
エイですよ。エイ。魚のエイ。
えー!商業港の神戸港にエイがいるの?と驚かれる方も多いかと思うのですが、
実はいます。
うじゃうじゃと。
種類は分からないのですが、たぶんアカエイ。
(*後日修正・・・ナルトビエイでした)
茶色いボディで鼻先がとがってます。
波止の岸壁にくっついているイガイなんかの貝を食べてるようで、縦に泳ぎながら
へばりついてます。
波止で釣りをしていて、何が邪魔ってエイほど邪魔な方はいません。
仕掛けを落としたあたりに、わっさ~~と羽ばたきながらやってきて、
「どがっ」と当たって行きます。
ヘタすると仕掛けがひっかかって持って行かれてしまう。そして糸プツン(涙)。
エイってね、バカにできないんです。
まず、デカい。
座布団サイズからヘタすると1メートル以上のが、ワサワサと羽ばたきながら
泳いでますよ。ええ。
しかも、この方々、ものすっごいバカ力をお持ちです。
糸をひっかけても、無視して悠然と泳ぎ去って行きます。
こっちは竿持って行かれそうになって真っ青なのにっ。きいっ。
こんな方なもんで、まともにやりあおうなんて思うはずもなく。
でもいたんです。そう思った人が。
あるおっちゃん語る。
「あんなあ、このエイを吊り上げようとしたヤツがおるんや。
いや、そら、普通の針と糸は無理やで。モリやモリ。
モリにロープつけて、エイ目掛けて投げ込むんや。
そら、あんた、どえらい力やで。
でな、そいつ、吊り上げた時、ボーーッとしとってな、指齧られたんや。」
また別のおっちゃん語る。
「今日もエイがぎょーさんおるなあ。
こいつらおったら、小魚逃げて行きよるから、あんまり釣れんやろ。
そういや、これを獲ろうとしたヤツがおってな。
モリにロープつけて、エイを刺したんはえーんやけど、これがまた
ものすごい力で引っ張られてなあ。
ロープ、素手で握ってたもんやから、手ズルズルやあ~~。
エイの力、舐めとったらアカン。」
おっちゃん達の話を集約すると、どうやらその男は、エイを吊り上げるためにモリにロープを
つけて投げ込み、引き上げる時に素手で握っていたため、エイが暴れる力でロープが引かれ、
手がズルズルになり、引き上げてボーッとしていたために指を齧られたらしい。
どの常連釣りダーも必ず語る「エイと戦った男の伝説」。すごいヤツだ。
恐れを知らぬ男よ。
だが、さすが関西、どのおっちゃんも最後のシメのセリフは
「アホやで。」
で落とすのだ。
うん、私も思う。
アホや。