2009年 06月 27日
山犬達と歩く 3 群れ



彼らはオスばかりの群れ。
優しいきりのママがいたけれど、彼女は去年旅立ってしまいました。
普通、オス同士会うのは、(特にウチは)緊張します。
特に同じくらいの力量がある(だろうと思われる)オス同士だと、「なんだテメーは」「やんのか」となった場合、
衝突してしまうからです。
なので極力(というか一切)たもんはヨソのオス犬とは接触はさせません。
ましてやそれが群れとなっていた場合、犬は徒党を組むと余計に気持ちが大きくなるから、
「やんのか度合い」は増してしまいます。
ドッグランなどでも繰り返される悲劇。1頭がキャンと悲鳴を上げた声を合図に一斉に襲い掛かる、
チームで相手の犬を滅多打ちにしてしまう、等々・・・。
ドーベルマンのオス同士が本気のがっぷり四つのケンカを始めたら、大の男でも止めるのは難しいし、
止めに入って逆に人間が興奮した犬に「邪魔すんな」とメチャクチャに噛まれる事故も多いのです。
もちろん全ての群れがそうではないし、穏やかな群れもいるのでしょうが、残念ながらあまり数多くは
お見受けしたことはありません。
なので、私は彼らに会わせる時、最初はものすごく緊張しました。
その緊張は当然たもんにも伝わります。
ワーッと寄ってきた彼らに、最初たもんは防衛本能から「寄ってくるな!」「近寄るな!」と
大声で吠え、蹴散らしました。
でも彼らのテリトリーでそんな無礼を働いても、彼らは終始興奮もせず、「あ、イヤなの?そうなの。」程度で
上手にたもんをヒラリヒラリとかわしながら、「そんなに怒っても面白くないのにな」と言いたげに
楽しそうに山を駆け巡り、時々たもんに「遊ぼうよ」と誘い、「遊ばない!」とたもんが断っても
気分が変わった頃何度でも「遊ぼうよ」と誘ってくれます。
彼らがたもんに対して脅威的な存在ではないと分かったたもんは、終始彼らの後ろをついて歩いていて、
彼らを意識して、彼らの姿を目で追ってます。
もちろん彼らもたもんを意識してますが、彼らのルールをたもんに強要したりはしないのです。
たもんにとって、世の中は全てが警戒する対象で、油断ならなくて、怖くて、信用できない存在。
「でも世の中はそんなに怖いものばかりじゃないよ」と、いつも彼らは教えてくれるのです。